日本に住む外国人に「『日本』と『自分の国』とどちらが安全か」というインタビューをしているテレビ番組が放映されていたので、興味を持って見ていました。アメリカ、ロシア、中国、ドイツなど、何か国の何人に聞いたかは定かではありませんが、結果は100%「日本」が安全ということ。理由としては、「飲食店などで、持ち物を置いて席を立っても盗ま れない」、「カバンを背中に背負って歩ける、自分の国では、前に抱えて歩かないと盗まれる」、「東日本大震災のあと、たくさんの金庫が落し物として届けられていた、自分の国ではありえない」「コンビニがたくさんあって、深夜でも何かあったら駆け込めるので女性としては安心」などなど。多くは「盗まれない」という理由でしたが、外国の方から見ると、「安全で住みやすい国」という印象のようです。
昔から、海外旅行をする日本人が、「危機管理が備わっていない」と外国人に驚かれるのは、安全な国に暮らしているからこそなのでしょう。
一方、日本に住んでいる私たちにしてみれば、毎日のように新聞で見か けるようになった家族や親族間の殺人事件、DVや虐待のニュースなど、「安全」な国かもしれないけれど「安心」して暮らせない、という印象は否めません。
実際、DVについては、「配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数」(内閣府調べ)によると、平成15年度の43,225件が平成25年では99,961件、また児童虐待については、「児童相談における児童虐待相談件数」(厚生労働省 社会福祉行政業務報告より)によると平成15度の26,569件が、平成25年度では73,765件と、いずれも、10年間で2倍以上に増えている現状です。他にも、学校や会社、最近ではネット上でのいじめなども加わり、「安心」を実感できない日本人が随分増えてきているのではないでしょうか。
私たち日本人は、「安全」な国を誇れる社会的なモラルは健在であるけれども、身近な集団の中で「安心」に暮らせないという現実。せっかく「世界一安全な国」に住んでいるのですから、心の平和を保って、家でも学校でも会社でも、みんなが「安心」して暮らせないものかとつくづく思うのです。
函館男女共同参画メールマガジン「HAKODATE☆かがやきネット90号」(平成27年5月30日発行)より