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コラム

人間(じんかん)距離

平成22年10月に開催された「はこだて男女共同参画フォーラム2010」の坂東眞理子さんの講演会の中で、「子どもが親の手を離れ、夫婦だけでいる時間が長くなってくると、夫婦の人間(じんかん)距離を上手に取りながらコミュニケーションを大事にしていく必要がある」という内容のお話がありました。今回は、この「人間距離」についてちょっと考えてみましょう。

車が安全に走るために車間距離が必要なように、人と人がぶつかり合わずに社会生活を営むためには、適度な「人間(じんかん)距離」が必要であると言われています。アメリカの心理学者であるE.T.ホールは、人間の対人距離に関する意識を次のように分類しています。

〈密接距離〉15~45cm/愛撫、格闘、慰め、保護の意識を持つ距離。

〈個人的距離〉45cm~1.2m/相手の気持ちを察しながら、個人的関心や関係を話し合うことができる距離。

〈社会的距離〉1.2m~3.6m/秘書や応接係が客と応対する距離、あるいは、人前でも自分の仕事に集中できる距離。

〈公衆距離〉3.6m以上。公演会の場合など、公衆との間にとる距離。

(出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

また、フロイトの有名な「ヤマアラシのジレンマ」は、〈寒い冬の日に2匹のヤマアラシが、お互いに寄り添って体を暖め合おうとするが、近づきすぎるとお互いの体の針が刺さって痛く、かといって離れすぎると寒い。この2匹は暖を取るために、近づいたり離れたりを繰り返しながら、適度な距離を見つける必要があった。〉という話ですが、これは人間関係における心理的距離の比喩としてよく使われています。

~親しき仲にも礼儀あり~夫婦でも親子でも、寒くもなく痛くもない「適度な距離」を保ちながら、お互いに心地いい毎日を過ごせるよう心がけたいですね。

函館男女共同参画メールマガジン「HAKODATE☆かがやきネット38号」(平成23年9月30日発行)より