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コラム

「対人関係を『横』で捉える」

Hakodate☆かがやきネット第84号で紹介したおすすめ本「嫌われる勇気(自己啓発の源流『アドラー』の教え)」の中で、対人関係を「縦の関係」ではなく、「横の関係」という概念に捉えることで良好な関係に結びつけるということを学びました。

 

私たちは「男女平等」の意識は高まっているものの、対人関係の中で縦のつながりをイメージしていることが多いのではないでしょうか。縦の関係は、上と下という主従的な関係です。親と子、学校の先生と生徒、会社の上司と部下など、縦の関係でみると、子は親の言うことを聞くもの、先生は生徒を指導するもの、部下は上司に逆らえないというような「しがらみ」を生み出してしまうことになります。

 

例えば、親に褒められたいから親の言うとおりにするというのでは、自分の本来やりたいことや進みたい道を諦めてしまわなければならない不自由さを招いてしまいます。また、叱られたくないから親や上司に言いたいことも言えないでストレスを貯めている人も多いことでしょう。

 

「褒める」とか「叱る」という行為は、上の人が下の人を思い通りに導く「操作」なのです。私たちは、無意識に行ってきましたが、まさに「縦の関係」の中に身を置いている証拠だったのだと気づきました。「横の関係」では、褒めることも叱ることも否定されるのです。そこから解放されたら、人はもっと気楽に暮らせるのではないでしょうか。

 

(ちなみに、横の関係では、「褒める」のではなく「感謝の気持ちを伝 える」というふうに置き換えられます。)

 

「天は人の上に人を造らず 人の下に人を造らず」明治初期に出版された「学問のすすめ」により、この言葉が広く知られているにも関わらず、実生活の中では未だに人間関係を上下で捉えることが珍しくないのは、意識の中に確固たる概念が備わっていないせいかも知れません。

 

人はそれぞれ立場や役割、年齢や性別など、「同じではないけれど対等」という「横」の意識をみんなが持っていれば、上から目線で人を見ないようになり、また、不要な劣等感を抱えずに済み、人間関係もうまく行くのではないかと強く思うのです。

 

               函館男女共同参画メールマガジン「HAKODATE☆かがやきネット86号」(平成27年2月28日発行)より