カテゴリー
コラム

人の意思や気持ちを尊重するために

函館市女性センターは「男女共同参画推進の拠点」という位置づけもあり、「人の意思や気持ちを尊重する社会」づくりの一助となるよう、毎年、学習講座の中にコミュニケーション法を学ぶ講座を設定しています。

 

とかく日本人は自分の意思や気持ちを伝えることが苦手で、コミュニケーション下手な国民性を持っているという評価も自覚もあるせいか、毎年このコミュニケーション法を学ぶ講座は人気があり、受講生が多い講座の一つです。

 

ところで、「意思や気持ちを尊重」してもらうためには、自分の「意思や気持ちを相手に伝える必要がある」ということが前提にあります。そこでちょっと自分の日常を思い返してみると、伝えていない大きな心当たりがありました。

 

例えば、毎日のように子どもに言っている「早く寝なさい」という言葉。この命令調の言葉の奥には、実は「早く寝ないと、明日の朝、時間通りに起きられなくて、学校に行く支度が間に合わないとあなたが困るから、私はそれが心配だ」という気持ちが隠れています。でも「早く寝なさい」だけでは子どもには全く伝わらず、うるさいだけの小言と受け止められてしまうのです。他にも、電話をかけているのに、子どもがそばで大きな音でテレビを見ていたりするときに、「電話の声が聞こえにくいから、音を小さくしてね」と言えばいいものを、つい「うるさい、静かにしなさい」と言ってしまったり…。家の中だけでも、自分の意思や気持ちを相手に伝えずに、つい命令言葉になっていたという事実が数多く思い起こされます。

 

それを考えると、人に意思や気持ちを伝えるということは、少なからず訓練が必要な難しいことだと感じますが、例えば誰かに何かをしてもらって「どうもありがとう」とか「すみません」とお礼の言葉を言うときに、「とても嬉しかったです」とか「助かりました」と一言加えることから始めるだけでも、こちらの気持ちは伝わり、少しは人間関係が潤滑になるのではないでしょうか。

函館男女共同参画メールマガジン「HAKODATE☆かがやきネット62号」(平成25年5月31日発行)より